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【解説・考察】『九龍ジェネリックロマンス』

宝島社のこのマンガがすごい!2021』オトコ編の第3位に入選するなど今注目のマンガ、『九龍ジェネリックロマンス』の解説・考察をしていこうと思います。

ちなみに、第4巻が2021年2月19日に発売されました!

 

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1.タイトルの意味

絵が素敵でジャケ買いしたという方も多いと思いますが、実際タイトルの意味って何?という方も多いと思います。

九龍とは、香港にある九龍地区という市街地エリアがありますが、ここで出てくる九龍というのは、主に九龍城砦というものになります。

九龍城砦は、1994年に取り壊されるまで存在していた壮大なスラム街?(建物)になります。あまりの広さや無計画な拡張で迷路のようでありながら、今でも伝説の建物として語り継がれています。ちなみに、今でも香港に跡地はありますので行ってみても良いかもしれませんね。

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Ian Lambot - Ian Lambot. City of Darkness - Life in Kowloon Walled City (ISBN 1-873200-13-7). 1993., CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=56276673による

 

2.登場人物

鯨井令子・・・九龍の不動産会社OLの日本人労働者

工藤発・・・・鯨井令子の同僚(先輩でありながら後輩でもある)

李・・・・・・鯨井と工藤の上司

小黒・・・・・九龍の住人で鯨井と工藤と仲良し

蛇沼みゆき・・蛇沼製薬の社長。整形外科の医師でもある。

陽明・・・・・鯨井の何でも相談できる友人

 

4.全体のあらすじ(※ネタバレ注意)

九龍城砦で暮らす鯨井や工藤たち。何気ない香港・九龍での日常生活の様子が描かれている。そんな当時の九龍ってこんなだったのかなという懐かしさを覚えながら見ていると、実は記憶をなくしているのではないだろうか?ということに気が付き始める。

実は鯨井は記憶喪失?若しくはクローン?であることが判明する。(以降生前の鯨井は鯨井Bとする)工藤は以前の鯨井Bが死んだということは知っている様子だ。そして、鯨井Bと付き合っていたということがわかる。

しかし、記憶喪失だとしたらなぜ記憶喪失に?そして、クローンだとしたら一体だれが何の目的でクローンを作成したのだろうか?

これから明かされていく…と思う。

 

 

4.九龍にはクローンの闇が…

そもそも九龍城砦は1994年に香港当局によって解体されています。それが物語の中でも新九龍として再現都市とされているのです。

第4巻に出てきますが、この九龍は「第二九龍塞城」として一度取り壊された九龍をもう一度違法に作り上げた都市だそうです。

そもそも街自体がクローンともいえるわけですが、ここでタイトルの話に戻りますが、ジェネリックとは医薬品でも使うジェネリックのことですね。ということに気が付きました。成分は同じということでクローンということに繋がっているのですね。

ちなみに英語でジェネリックは「一般的な」という意味らしいですよ。

なので英語直訳というよりはジェネリック医薬品のような意味が正しい気がしますね。

 

5.なぜクローンを生むのか

そこで、なぜクローンを生むのかについて考えていきたいところです。

Wikipediaによると、著者さん自身が中学生のころにゲームをきっかけに九龍城砦が好きになり、今回のコミックを書いているそうです。

もう一度九龍をマンガの中で再現したいという思いがあったのかもしれませんね。

そして、コミックの中でだれがクローンを生むことで利益を得るかというと、製薬会社や整形外科の医師である蛇沼先生が怪しい気がしますね…。

まだ真相は闇の中なので今後に注目です。

 

5.『九龍ジェネリックロマンス』の魅力

ぼく個人としてはこのコミックがすごい好きです。沢木耕太郎さんの「深夜特急」が好きなのですが、時代的にちょうど九龍城が現存したころに書かれている本で、実際に香港の旅行から始まる名作なのです。そういう背景もあって、その当時の九龍城ってこんな感じだったのかな~なんて考えながら読むというのも楽しいです。

そして、眉村さん独特の絵の世界観ももちろん好きですが、登場人物も鯨井さんみたいな人が実際の世界にいたら絶対好きになるなと思いながら読んでいます(笑)

 

次回作もお楽しみに!

 

 

 ↓↓↓【U-NEXT】『九龍ジェネリックロマンス』(著者:眉村じゅん)