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「チ。ー地球の運動についてー」ついに最終巻!最後のラファウのシーンを考察。

アメトークで話題になり、ついにアニメ化決定&8巻で完結を迎えた魚豊先生の『チ。ー地球の運動についてー』ですが、1巻に出てきたラファウが最終巻でも出てきて衝撃の結末が描かれていたので話題になっています。
そのことについて今回は考察してみました!

 

 

 

『チ。ー地球の運動についてー』簡単なあらすじ

15世紀前期、P王国。まだ世の中が「天動説」だった頃に「地動説」を唱える者たちがいた。しかし、時代は未だ「天動説」が主流で「地動説」を唱える者たちはC教に背く異端として弾圧されていた。
少年ラファウは神学の道に進もうとしているエリート学生。しかし、異端者のフベルトと出会い、異端といわれる「天動説」の道へと進もうと決意する。
C教異端審問官のノヴァクが訪ねてきた際にラファウが作成した「地動説」の研究資料が見つかってしまい、フベルトはそれを自分の資料だと言い張り処刑された。
それからラファウは義父に売られ、ノヴァクに捕まり、改心の機会を与えられたが断り自ら毒薬を飲み檻の中で命を絶った。

フベルトから託された「地動説」の研究だが、それ以降も徐々にその思想は広がりを見せ、弾圧されながらも次の人へとバトンがつながれていく。

 

8巻あらすじ

ヨレンタから思いを託されたドゥラカは依然訪ねてきたアントニ司教へ「地動説」の活版印刷を打診する。そこへ異端審問官ノヴァクが追い付く。アントニ司教は「地動説」自体はそもそも禁止されているのではなく、人の勘違いや忖度によって行われていただけで、特に問題がある思想ではないという見解を示す。
これまでノヴァクは正義と思って行っていた弾圧だったが、実は自分はいいように使われていただけなのだと知り、自分の娘をも死に追いやったことを後悔する。
アントニ司教、ノヴァク、ドゥカラはそこで亡くなり、次のものへと「地動説」は託されるのだった。
ドゥカラが亡くなる直前に出していた手紙によって、アルベルトが働く店へと届けられる。

 

ラファウが最後に出てきた問題シーン

パン屋で働く青年アルベルト。のちの”アルベルト・ブルゼフスキ”。
優秀な学生でありながらも大学進学を拒んでいた。
幼いころに父が学問に興味を持っていたため、幼いころから好奇心旺盛だった。
天体に興味を持ち、先生としてラファウが紹介される。
ラファウに誘われて行った”真理の自由な探求”を信条とする集まりに誘われる。
その日天体の記録を忘れていたアルベルトは途中で帰宅することに。
しかし、家のドアを開けるとラファウが父を殺害したところに出くわした。
父の教えは「疑え」、先生ラファウの教えは「信じろ」
疑うことも信じることも結局は悲劇へ塘永るので人間には荷が重すぎると考えるが故に大学進学をしないと決めたのだった。

 


結局ラファウはなぜアルベルトの父を殺したのか

「チ。ー地球の運動についてー」の一番のテーマは知的探求心ではないだろうか。
これが正解!正義!というのは決まっているものではなく、曖昧だからこそ面白いものなのでは。
現在では地動説が主流で、1巻のラファウの信念を突き通すということに感動した読者も多いと思います。ラファウのような人たちがいたからこそ現在がある!と感じた方もいると思います。しかし、ここであえてラファウの裏にあった顔を知ることで、完全なる正解や正義というものはないのではという風にも考えられる気がしますね。
まあそもそも、史実ではなくファンタジーなので正解は決まっていないし割と先生の自由にやっているような気もしますね(笑)

こちら先生が以前受けていたインタビューになりますが、割と自由な感じです(笑)
いろんなことを考えてくれたら先生としてもうれしいのではないかなと思います。

 

 

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