『盲目的な恋と友情』(辻村深月)あらすじ・ネタバレあり感想
いつも基本的に小説はあまり読まない派の人間ですが、あまりにも読まないので、BOOKOFFに行って面白そうなものがあったら買おうではないかと思って、買ったのが『盲目的な恋と友情』です。
恥ずかしながら辻村深見さんの本も初めて読みました。文章にリズム感があってとても読みやすいし展開もスピーディーでとても良い本だと感じました。
というわけで、あらすじと一部ネタバレありの感想を書いていこうと思います。
主な登場人物
一瀬蘭花
タカラジェンヌの母を持つ女子大学生。
オーケストラ部に所属し、指揮者の茂実星近の恋人。
茂実星近
大学のオーケストラ部の指揮者として向かい入れられた若い男性。
一瀬蘭花の恋人。指揮者である室井稔の弟子として海外でも活動している。
傘沼留利絵
大学のオーケストラ部のメンバーで一瀬蘭花の友人。父親は画家。容姿にコンプレックスを抱いている。
名木沢美波
大学オーケストラ部のメンバーで一瀬蘭花の友人。いわゆるイケイケ系女子。
室井奈々子
茂実星近が師事している室井稔の妻。茂実星近とは不倫関係にある。
一瀬蘭花が自分の親世代と言っているので40~50代くらいだと思われる。
あらすじ
一瀬蘭花は大学のオーケストラ部(オケ部)に入部した。オケ部では代々指揮者を外部から招くことになっているが、毎年指揮者と部員が恋人関係になることで有名だそう。
一瀬蘭花は端麗な容姿ながらこれまで恋人関係はほとんどなく、近寄ってくる男たちも母親がタカラジェンヌということで、タカラジェンヌの娘と付き合うというステータスが目的だった。自分には関係ないと思っていた恋愛だが、茂実星近と急接近し、恋人関係へと発展する。茂実星近は紳士的な男性でオシャレで優しいと思って過ごしていたが、ある日レストランで食事をした帰りに室井菜々子が茂実星近の家から出てきた。
すべてを察した一瀬蘭花は友人の名木沢美波と傘沼留利絵に頼って支えてもらう。
大学のオーケストラ部を舞台に、恋と友情がそれぞれヒートアップした先にあるのは…
感想(ネタバレ含)
本全体としt、序盤は一瀬蘭花の視点で書かれている文章となっていて、後半が傘沼留利絵の視点で書かれています。
①一瀬蘭花の視点
自分に関係ないと思っていた大人な恋愛が、泥沼化していき、抜け出そうと思っても抜け出すことができないという現実社会でも起こっている現象をリアルに描いています。
最初が良い印象だった場合、落ち目になっても支えてあげよう、信じてあげようという心理は理解ができるのと、なんと言っても夜の相性が良い場合は尚更すぐにポイとなるものではありません。
あと、最初のシーンと一瀬蘭花の最後のシーンがシンクロするのはさすがの演出だなと思いました。
②傘沼留利絵の視点
ずっと一瀬蘭花の視点で書かれるものと思っていたので、傘沼留利絵の視点が出てきたときには少しビックリしました。この物語の本題はどちらかというとこちらになります。
幼いころから容姿がコンプレックスで、男たちからからかわれ、それを女子に笑われるという構図。悪いのは男子ではなく笑っている女子だと思い過ごしてきました。
大学で一瀬蘭花に出合い、それまで思っていたイケイケ女子に対する偏見が解けたかに思われましたが、実際は一瀬蘭花を通してイケイケ女子が経験してきた恋愛を間接的に経験するという高等テクニックを見せます(笑)
実際に恋愛経験がない友達に言われたことがあるのですが、友達の恋愛話を聞いてそれを他の友達に話してあたかも自分が体験したかのように見せかけるということをしている友人がいました(笑)
現実の社会でもありえなくはないのかなと思った次第です。
そして、これらの結末は最後に怒涛の展開を見せて終わりになるわけです(大どんでん返しです)。
最後のオチはぜひ自分で読んでみることをお勧めします!
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