「スポットライト 世紀のスクープ」衝撃の実話作品ーカトリック教会で蔓延していた児童虐待はその後どうなったのか
2015年(日本は2016年)公開作品の「スポットライト 世紀のスクープ」では、2003年にアメリカ=ボストンの地元紙『ボストン・グローブ』によって明らかにされた、カトリック司祭による性的虐待事件を事実に基づいて描かれています。
「スポットライト 世紀のスクープ」ストーリー
1976年、ジョン・ゲーガン神父が児童に性的虐待を行っていたとして、逮捕されました。しかし、駆け付けた地方検事補は特に事件にすることなく、司祭を帰らせます。
またあわせて駆けつけていた司祭は性的虐待を行った神父を異動させると被害者家族に伝え、実際に事件化され表面化することはありませんでした。
2001年にボストン・グローブ新聞社の新しい局長にマイク・レゼンデス氏が就任します。レゼンデス氏は部数が減り続ける新聞業界の中で、読む価値のある記事を書くように指示を出します。
そこで、記事のネタとして選ばれたのが、コラムで掲載していた「ゲーガン事件」をグローブ紙の「スポットライト」という枠で連載することでした。
「ゲーガン事件」は約30年間、カトリック教会の神父による児童への性的虐待を繰り返していて、地元のカトリック教会をまとめる枢機卿が知りながら、弁護士などを使って組織的に隠蔽していたという事件です。
カトリック教会は当時も地元の心の寄せどころとなっていて、カトリック教会=神という図式が成り立っていました。そうした理由で、警察組織などでもなかなか手が出せない組織が出来上がっていて、裁判所の資料なども非公開処理がされていました。取材は当時事件を担当していた弁護士も守秘義務で口を割らず、裁判所の資料請求をしても拒否されるというように困難な道のりでした。
しかし、被害者たちに取材をしてく中で徐々に事件の全容が明らかになっていきます。マサチューセッツ州のカトリック教会の中だけで87人の神父が性的虐待を行っていたというリストを作成することに成功しました。
他社との競合もありながらも、不完全な情報ではなく、カトリック教会が組織的に犯罪に手を染めていたとう全体像を掴み、衝撃のスクープを行うのでした。
その後カトリック教会で児童虐待は…?
世界的に行われていた児童虐待
その後、マサチューセッツ州のみならず、全世界のカトリック教会の調査が行われ、実際に世界各地の教会で児童への性的虐待が行われていたことが明るみになりました。
カトリック教会での性的虐待が起こる構造
そもそも、なぜそんなに児童への性的虐待が行われるのかとうと、
カトリック教会の神父たちは基本的に皆独身(一部例外あり)と定められています。
また、カトリックでは肉欲主義や快楽主義を非難するとしていますが、結婚した男女であれば性的関係を持つことは良いとされています。
従って、神父は結婚することもできず、性的関係を築くこともできないため、性的知識においては小学生並みとされていたそうです。
このように、児童への性的虐待を行わせてしまう構造に問題があったともいわれています。
その後どうなったのか
カトリック教会は世界的にあまりの大きさを持っているので、根絶ということは難しく、現在も性的虐待のニュースはよく目にします。実際に日本でもあったようです。
そんな中、スクープから20年ほど経過して、ローマ法王も性的虐待に関して対処していく姿勢を見せています。
・枢機卿を集めて性的虐待に対する会議を行いました↓
カトリック教会の性的虐待スキャンダル、法王はどうする バチカンで会議始まる - BBCニュース
・性的虐待を神父の守秘義務から撤廃
ローマ教皇、性的虐待の守秘義務を廃止 隠蔽防止へ 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
ボストン・グローブ紙による”衝撃のスクープ”から20年ほど経過して徐々にではありますが、カトリック教会も変化しているのかなと感じています。
にしても、やはり真実の力というのはすごいことだなと衝撃を受けた作品でした。
主なキャスト
監督
トム・マッカーシー
脚本
ジョシュ・シンガー
トム・マッカーシー
登場人物・俳優
(役)マイク・レゼンデス
(俳)マーク・ラファロ
(役)ウォルター・“ロビー”・ロビンソン
(俳)マイケル・キートン
(役)サーシャ・ファイファー
(俳)レイチェル・マクアダムス
(役)ベン・ブラッドリー・Jr.
(俳)ジョン・スラッテリー
(役)マット・キャロル
(俳)ブライアン・ダーシー・ジェームズ
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