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【今観たい香港映画】英国から中国へと返還迫る香港を舞台とした青春映画「メイド・イン・ホンコン/香港製造」

現在混迷の香港ですが、歴史はアヘン戦争当時にまで遡り、イギリスに植民地化され、その後一部中国から租借するという形でイギリスの統治下に置かれました。

1898年から99年間はイギリスの統治下に置かれ、その後(結果的にですが)香港すべてを中国に返還することになりました。

今回紹介するフルーツ・チャン監督の「メイド・イン・ホンコン/香港製造」は1997年に制作され、中国に返還される直前の香港の不安と葛藤を描いた青春映画となっています。

 

 

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あらすじ

中学校を中退後、事実上マフィアの借金取りとして働いていたチャウ。

父親は愛人のもとに行き、母親との2人生活を送っていました。

チャウはろくに働かず頼りになりませんが、ロンという知的障害を持つ友人を気にかけ、助ける根は良い人間です。

ある日、借金取りに行った家で出会った少女:ペンに恋心を抱くようになります。

ロンがいじめっ子から逃げていたら自殺した少女:サンが路上に横たわっていました。

ロンは道端に落ちていた遺書を持ち帰りますが、それからチャウの身の回りではおかしなことが起こるようになります。

サンが夢に出てきたり、借金の取り立てで出会ったペンが家を訪ねてきたり…。

それからチャン・ロン・サンは仲良し三人組としてサンの実家を訪ねたり遺書に関係する人に会い、遺書を渡しに行きます。しかし、会いに言ったは良いものの、2通のうち1通は破り捨てられてしまい、もう一通は家族宛で渡しそびれてしまいました。

サンが腎臓の病気で移植を受けることができなければ先は長くないということを知り、チャンは柄にもなく、死後はドナーとなる意思表示をします。

サンの家が抱える借金やトラブルを解決し、自身も男となるためにマフィアの兄貴から依頼されていた銃を使った仕事を引き受けることを決意し…。

 

「メイド・イン・ホンコン」タイトルの意味とは

このタイトルを見た時に、タイトルの意味ってどんな意味だろうと考えていましたが、作品を見てみると、確実にこれか!とはなりませんでしたが、色々と想像を膨らませることができます。

ひと言でいうと「独立した香港というアイデンティティ」と言えるのではないでしょうか。

よく製造業などでは「made in japan」「~china」など書かれているものですが、香港はどうでしょう。各国によって法律が分かれているかとは思いますが、下記のような記事もあり、香港製ではなく、「made in china」になってしまうこともあるようです。

「中国製」表示義務付けをめぐり、WTO手続き開始(香港) | ビジネス短信 - ジェトロ

香港自体が、中国⇒日本⇒イギリス⇒中国というように様々な支配下に置かれ、その時代時代で異なる文化や社会制度を適用されてきました。

香港市民としては、「made in china」でもなく、「made in england」でもなく、俺たちは「made in hong kong」だ!ということを言いたいのではないかなと感じました。

 

低予算にして味のある映画

この作品はスタッフも5名ほどで、キャストも道端でスカウトするという超低予算映画にして、香港でも最高の青春映画として人気を博した映画です。

低予算でできた理由としては、大規模なセットなどを用意する必要がなく、香港内の実際にある場所を使用してロケを行うことで、リアリティを感じながらも簡素的にできるということらしいです。
もちろん、有名キャストが出演しているわけではないので、出演料もほとんどかからないでしょう。

実際に当時の香港の空気感を感じながら作品を見ることができるので、今では絶対に経験できないとても祈祷な映画ではないでしょうか。

 

作品情報

配給:
ユナイテッドエンタテインメント

監督・脚本
フルーツ・チャン

主な登場人物・・・キャスト
(役)チャウ・・・サム・リー
(役)ペン ・・・ネイキー・イム
(役)ロン ・・・ウェンダース・リー
(役)サン ・・・エイミー・タム

上映時間
108分

 

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