日本のヤクザ・山口組の歴史を知れる本ー『喰うか喰われるか』(溝口敦)レビュー
ノンフィクションライター(主にヤクザ担当)で知られる溝口敦さんによる、今だから言える山口組全盛期とされた時代の話が書かれた本が出版されました。
溝口敦さんは『血と抗争 - 山口組ドキュメント』で単行本デビューして以来、週刊誌で連載したものを中心に数々の日本のヤクザ事情についてや、創価学会、社会問題として取り上げられたものなど様々な書籍を出版しています。
今回の『喰うか喰われるか』は取材当時は情報のネタ元(情報提供者)の名前など言えない内容が多かったのですが、時も経って当時の情報提供者が亡くなっていたり、さすがにこの件は時効だろうというものなどを、自身の体験と共に公開した本になります。
13章仕立てで書かれていて、主に下のような構成となっています。
- 著者がライターになったきかっかけ(出版社の記者)
- 山口組に詳しいライターとして活躍(フリーライター)
- 山口組とのトラブル(刺されたり、刺されたり、刺される!)
- 細木数子との訴訟問題(ヤクザと芸能界)
- 山口組の今後(暴対法・神戸山口組・任侠山口組の分裂騒動など)
著者はほぼ暴力団の専任ライターとして活躍していて、基本的に記者なので事実に即して好きなように書くのが当たり前ですが、時と場合によって組に原稿の確認を取りながら進めたり、また時には訂正を求められたりというのがあったそうです。
ペンの力とはよくいうものですが、実際にヤクザのほうも黙っているわけにはいかない内容もあるそうで、著者や著者の息子さんなども刺されたり切られたりした経験があるそう。それでも尚、事実を世の中に知らせてきたのは記者としての信念、そして何より、フリーライターとしてお金を稼がないといけないので出版社や社会からの信用を無くすことは避けたいという想いからでした。
著者の溝口敦さんが山口組と取材で付き合う中で、以前は一般の人間には手を出さないとかそういうルールがあったものが段々と薄れてきて過激化していったりする流れに当たったそうです。そういう中で、世の中の必要悪という存在から害悪という存在に移り変わっていき、神戸山口組、任侠山口組と分裂していったというわけです。
(昔はゴッドファーザーのような世界があったそうです)
そんなわけで、著者自身もこの山口組というのも暴対法で段々と影響力が弱まっていっていて、いつの日か消滅してしまう日もあり得るのではないか(歴史に組み込まれる)という思いで、この本を書かれたそうです。
とにもかくにも、本当に出版社の襲撃事件や著者への襲撃などの事件があったんだなと今現在はなかなか想像できないような世界で貴重な本だなと思いました。
皆さんも是非読んでみてください!
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