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アマゾンの奥地で生活する「ヤノマミ」を追ったドキュメントがスゴすぎる

「ヤノマミ」って初めて聞いたよ~って人もいるかと思いますが、ブラジルとベネズエラに広がるアマゾンで生活している先住民のことです。

僕の好きな本で、「ヤノマミ」という本があって、これはNHKスペシャルで取材したことを基にした本だということが分かり、さっそく動画のほうも見てみましたよという話です。

 

で、実際にどう凄いのかというのを書いていこうではないかと思います。

(ブログ始めたばかりで過去の記事と文体が統一されていないのは気にしないでください。)

 

 

 

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ヤノマミとは

ヤノマミ族は南米アマゾンの熱帯雨林で生活している先住民族です。

衣服は基本的には着ておらず、女性は腰巻をしている程度で、たまに男性がズボンをはいていたりします。家はシャボノという木と藁のようなもので立てて生活しているそうです。

そんな、ヤノマミ族に約10年取材のアプローチを続け、2007年~2008年の間で要約取材ができたそうです。

 

ヤノマミとナプ

「ヤノマミ」とはヤノマミ語で「人間」という意味だそうです。取材している側からすると、いや、俺も人間だよという気分になりそうですね。いやもしかすると、偏屈な人間だとこちらが人間だとなるかもしれませんね。

いずれにせよ、ヤノマミ族の世界ではヤノマミこそが人間で、ヤノマミ以外は「ナプ」といいます。全く異なる世界で住んでいる人間同士なので、言葉も違えば生活様式も全く違います。現在はややブラジル政府から派遣されてくる人間と多少の交流はあるそうですが。

 

シャーマン

ヤノマミの中には男性でシャーマンという立場というか役を担っている人が何人かいます。精霊との交信・祈りによって豊作を祈ったり、病を治したりすることができます。

この精霊とのつながりが過去に死んでいったヤノマミたちとのつながりでもあるのです。ヤノマミの死生観は次のような感じなので、死後もつながりを維持しているため、それをシャーマンが呼び起こすということですね。

死ねば精霊になり、天で生きる。だが、精霊にも寿命がある。男は最後に蟻や蝿となって地上に戻る。女は最後にノミやダニになって地上に戻る。地上で生き、天で精霊として生き、最後に虫となって消える。
(『ヤノマミ』本文より)

 

ヤノマミの狩り

ヤノマミは基本的に弓矢や槍を使って動物たちと格闘しています。男は狩りができるようになって一人前ということで、鳥や猿、獏など様々な動物を狩ります。女は主に川で魚を捕まえたり、男が買ってきた動物を捌いたりしてサポートします。

 

 

ヤノマミの恋愛

ヤノマミ族は数十~数百の規模の集団生活をしているのが何組かあり、年に1度ほど祭りが行われます。その際に男女が食事の場やイベント事で交流が生まれ、夜になるとアマゾンの明かりも全くないようなところで情事に及ぶそうです。日本の恋愛とあまり違いはありませんが、違いはというと、隣に毒蛇がいて死の危険があるかということですかね。

 

ヤノマミの出産

「ヤノマミ」を映像や本で見たことがある人はわかるかもしれませんが、ヤノマミのドキュメントにおいて、ここが一番重要なシーンといっても過言ではありません。

産気づいたら、女性がひとりで森の中へと消えていきます。そこで出産を行います。
出産した後、しばらくわが子を抱きかかえることはしません。ヤノマミ族では出産した直後の赤ちゃんはまだヤノマミ=人間とは認めていないのです。

では誰が認めるかというと、出産した母親が自分で認めることになります。本当にヤノマミとして育てていけるのかと自分一人で悩み、決定を下します。

ヤノマミとして認めた際は抱きかかえ、シャボノへ連れ帰ります。しかし、認めなかった場合はそのまま、白アリの巣へと入れ、白アリに食べさせた後に火をつけます。

日本では考えられないですが、ヤノマミ族というのは先に書いた通り、独自の死生観を持っているため、このようなことが行われているのです。

 

文明化が押し寄せる

現在のヤノマミはというと、取材当時からブラジル政府の使者と接触があり、HIVが流行していた頃はコンドームを送られたり、ナイフや下着といったものを少しずつ受けとるようになりました。徐々にですが、文明社会との交流が広がっていき、本来のヤノマミの生活に変化が起こっています。どちらが良いかはわかりませんが、現在のヤノマミ族の生活の記録としては素晴らしいドキュメンタリーだなと思います。

 

 

取材の過酷さ

ヤノマミ族の生活様式についてひたすら書いていきましたが、このドキュメントの凄いところは、約10年にわたって粘り強く交渉してようやく形にできただけあり、テレビでは初の長期密着番組ということです。そもそもヤノマミとナプというくらい隔絶された環境で生きてきて、言語もわからず、下手したら死んでもおかしくないという状況で取材すること自体が凄いなと思います。

そして、もしかしたらあと数年でヤノマミという生活様式がなくなるかもしれないという状況で取材をできたというのはとても貴重な情報だなと思います。

 

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